犬の健康 犬と年齢 老犬のケア

犬の年齢 老犬のケア

「犬の寿命」の項目でもお話したとおり、犬の成長は人間に比べてとても早く、長く飼っていれば犬も高齢になってきます。以前ほどの元気が出なかったり、呼びかけや動きの反応が鈍い、眼の濁り、口臭、白髪や毛のつやのなさなど、老化減少の兆候が見られるようになったら要注意です。状況を正確に把握し、シニア犬に合ったケアを行うようにしましょう。

老犬と食事

・気をつけたいポイント

:やわらかい食事を与える
消化機能が衰えてきたり、噛む力も弱くなってくるので、老齢期の食事は特に配慮が必要です。
硬い食事は、細かくして食べやすくしたり、ぬるま湯でふやかすなど工夫してみましょう。この時、チキンスープなどを使うと、水分補給にもなり消化も助けます。また、味付けの旨みも出て食欲も増すでしょう。
ただし、牛乳を使う事は下痢の原因となる場合もあるのでオススメしません。

:低カロリーの食事を与えるようにする
犬も加齢に伴って運動量が減少しはじめ、また消化機能も衰えていきます。成犬期と同じ食事内容では、肥満や内臓系疾患の原因となる場合があります。
老犬には、食物繊維が豊富でカロリーが控えめなドッグフードを与えるようにします。
また、足腰の力が弱くなって来たと感じたら、関節強化の作用が含まれている「グルコサミン」や「コンドロイチン」などの物質を含んだドッグフードを与えてみましょう。

:食事の回数を増やしてみる
消化機能が衰えているので、1日与える食事をあらかじめ計算し、小分けにしてあげるのも効果的です。

:食器
犬があまり頭を下げずに食べられる様に、食器は少し高い位置に置いてあげるようにしましょう。
ただし、食事をこぼしたり自力で食べられないようであれば、付き添って介助しながら食べさせます。

犬の肥満に注意

人間と同様に、犬も高齢になるに従って代謝が下がり、太りやすい体質となってきます。
体重は、犬の健康状態を把握する上でとても重要なバロメーター。体型に合わせた犬のベスト体重を十分把握し、定期的に体重測定を行うようにします。
排便を済ませた散歩の後など、毎回決まった条件で測定する事が大切です。測定の頻度は、2週間に1回程度が良いでしょう。

老犬と散歩

犬にとって散歩は、運動や排泄だけではなく、他の犬に会ったり適度な刺激を受けるので、好奇心が満たされ気分転換にもなります。
高齢だからと言って散歩をとりやめず、犬の意欲や健康状態を見ながら連れて行った方がよいでしょう。
逆に、家に閉じこもりがちで刺激がない方が、老化は早く進行するとも言われています。
ただし、高齢の犬は筋力の衰えから動きが鈍くなるので、若い頃と同じペースでは犬に負担をかけてしまいます。犬の呼吸や歩く速度などを良く観察しながら、歩くスピードを調節しましょう。

歩く際の補助として、ハーネスや吊り上げ式のベルトなどを使うのもよい方法です。
自分では歩けないほど高齢の犬であれば、抱きあげたり、乳母車などに乗せるのもよいでしょう。外の空気に触れるだけでも、犬にとっては良い気分転換になります。

老犬のお手入れ

・ブラッシングの目的と効果

:血行促進・・・
犬も高齢になると新陳代謝が落ちて、次第に毛ツヤがなくなってきます。犬の血行を促進させ、被毛を美しく保つ為にも、毎日のブラッシングが理想的です。

:清潔に保つ・・・
被毛のお手入れを怠ると、抜けた被毛が放置されたままとなり、ダニやノミなどを増やしてしまう結果になります。また、皮膚が不潔になる事で、皮膚病の原因となる場合もあるので、予防の為にもなるべく根元から丁寧にブラッシングしてあげると良いでしょう。

:健康チェック・・・
ブラッシングで犬の全身に触れる事で、体の異常の早期発見につながる場合があります。
はれ、傷、皮膚病や腫瘍などをはじめ、触れた時に痛がる場所はないかなど、こまめにチェックしましょう。

:コミュニケーション・・・
優しく話しかけながら全身に触ることは、犬との良いスキンシップになり、何より犬と飼い主との大事なコミュニケーションの時間となります。

・マッサージ

ブラッシング同様、マッサージを行うことで、犬の全身観察ができ、病気の早期発見が出来る場合もあります。また、飼い主に声をかけてもらいながら、マッサージをしてもらえることの精神的なくつろぎ効果は、老犬になるほど大きいようです。毎日ちょっとづつでも習慣づけ、続けるようにすると良いでしょう。

・歯のお手入れ

加齢に伴い歯も劣えてくると、食べる事に不自由になる場合もあります。日常的に手入れをしっかり行い、歯垢を予防するなどして、歯の劣化などに十分注意が必要です。

老犬に合った生活環境

年齢を重ねた犬は、それまでは苦労もなく上り下りをしていた室内の段差が、大きな苦痛となる事もあります。
体力的な衰えが見られたら、踏み台やスロープなどを設置して段差をなくし、バリアフリーの空間作りをしてあげましょう。
室内で飼育している場合は、床材は滑りにくいものにしてあげます。眼の濁りが出たり、視力も衰えてきますので、犬の生活環境は明るめにし、夜は照明などを多めに用意してあげると良いでしょう。
また、ケガなどの防止の為にも、犬が良く通る場所には障害物などを置かないように気をつけましょう。

その他

・信頼できる動物病院を見つけておく

高齢になると病気がちになり、動物病院などに行く機会も増えてきます。
信頼できる動物病院を早い時期から見つけて、治療の事など、気軽に質問や相談のできる信頼関係を結んでおく事はとても大切です。

・メンタル面をサポート

高齢に伴う体力の衰えから、今まで不自由なく出来ていた事が出来なくなります。それは犬にとっても大変ショックな事です。
そう言った場合には、飼い主自身が慌てたり必要以上に同情したりせず、犬が自信を取り戻せるようスキンシップや言葉かけなどを図り、精神面でもサポートしてあげられるように心がけましょう。