犬の病気 循環器 フィラリア症

フィラリア症

犬のフィラリア症とは、別名「犬糸状虫症」とも呼ばれ、蚊を媒介した寄生虫の感染のよって起こる病気です。
犬特有の病気のように思われますが、タヌキなどのイヌ科動物をはじめ、猫やフェレットなどの動物のみならず、人に寄生する場合もあります。

フィラリア症の原因

1. 蚊がフィラリアに感染している犬を刺した際、0.3ミリ程のフィラリアの幼虫が蚊の体内に侵入。

2. フィラリアの幼虫は蚊の体内で成長。

3. その蚊が未感染の犬を刺す事で、フィラリアの幼虫が犬の皮下に侵入。フィラリアに感染。

4. 犬の皮下に入ったフィラリアの幼虫は、2〜3ヶ月かけ脱皮をくり返し成長。
   ※成長したフィラリアは、そうめん状に白く細長い形をしており、大きさは12〜30cmほどまでになります。

5. 血管内に進入し静脈を通って心臓まで到着。感染後半年後には成虫へと成長し、右心室や肺動脈に定着。

6.  成虫の数が増えはじめ、多い時は約100匹程寄生する場合があり、肺や心機能の低下がひどくなり、肺動脈塞栓症による呼吸困難や心不全などの原因に。

7. 成虫となったフィラリアは犬の血液中で幼虫を産みはじめ、蚊の吸血によって他の犬へ感染。

フィラリア症の症状

感染初期は特に目立ったフィラリアの症状は見られませんが、体内のミクロフィラリアが成長し感染が進行すると、

・軽い咳
・元気の消失
・疲れやすくなる
・散歩に行きたがらなくなる、運動を嫌がるようになる
・脱毛などの皮膚病
・ヘモグロビン尿が出て、尿の色が赤や褐色に変わる

などの症状が見られるようになり、さらに進行すると、

・食欲不振
・息が荒くなる
・咳がひどくなる
・散歩時に途中で休憩をする回数が多くなる
など、心不全など他の心臓病と同じような症状があらわれる様になります。

末期には
・貧血
・腹水がたまり、お腹が膨れるようになる
・体重増加
・四肢のむくみ
・意識がなくなる
・吐血
などの症状が見られ、やがて死に至ります。

フィラリア症の治療方法

フィラリアの治療をするにはまず血液検査を受け、フィラリアが寄生していないかを調べます。
感染が確認された場合は、レントゲン検査などを経て治療方法を決定します。

<内科的療法>
予防法でも述べたとおり、薬剤によって体内のフィラリアを駆除する療法です。
ただし重症の場合は、薬剤を投与する事によって死滅した大量の寄生虫が肺動脈に詰まり、犬の生命をおびやかす恐れがあるので慎重に投与します。

<外科的療法>
心臓や肺に寄生したフィラリアを外科的手術で直接寄生虫を一匹ずつ取り除く方法です。

適切な治療法を、獣医師に相談しましょう。

以前は犬の死亡原因の上位にあったフィラリアですが、今では予防薬を投与することにより予防できる病気です。 予防薬の投与が一般的となり、日本での感染率は減少してきています。
ただし、病気が進行した場合は治療が難しく危険性が伴うため、確実に予防する事が大切です。
蚊はあらゆる所から侵入してきますので、室内飼いの場合でも油断せず予防薬を投与しましょう。

フィラリア症の予防方法

フィラリアを予防する最善の方法は、蚊の活動が活発になる春頃から、フィラリアの予防薬を月1回定期的に投与します。
発育中のフィラリアの幼虫を皮下や筋肉で殺傷し、犬の心臓に寄生させない様にする事でフィラリアを予防します。

予防薬の投与は、蚊が少なくなってくる頃からさらに1ヵ月後(冬のはじまり頃)まで投与を続ける必要があります。これは感染予防のみならず、すでに寄生したフィラリアを成長前に早期に死滅し駆除する為です。