外耳炎
犬の外耳炎とは、外耳道(外耳口から鼓膜までの部分)に炎症が起きる病気で、真菌や細菌、寄生虫などが原因で発症します。外耳道の表面には、皮脂腺とアポクリン腺があり、アポクリン腺が多く分泌すると外耳道内が蒸れやすくなり、皮膚炎の原因となる細菌が増殖しやすい環境となります。
アメリカン・コッカー・スパニエル、ミニチュアダックスフンド、レトリーバー系の犬など耳が垂れている犬種は外耳炎を発症しやすいので注意が必要です。また、シー・ズー、マルチーズ、シェットランド・シープドッグ、ウェスト・ハイランド・ホワイトテリアなどの犬種は、アレルギー性皮膚炎を起こしやすく、それが原因で外耳炎を併発する場合もあるので注意しましょう。
外耳炎の原因
1. 「耳ヒゼンダニ」などのダニをはじめ、細菌や真菌の耳垢への寄生。
2. アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎などの全身性皮膚病からの併発。
3. 皮膚のアレルギー反応が、外耳道に及んで起きるアレルギー性外耳炎。
4. 耳掃除などの際、頻繁に綿棒などで外耳道を刺激して出来た引っかき傷から炎症。
5. シャンプーの際、シャンプー剤やお湯が耳に入ったり、点耳薬などの刺激による炎症。
外耳炎の症状
1. 臭いの強い耳垢。
2. 激しいかゆみや痛み。
3.耳を傾けたり、耳を頻繁に動かすようになる。
4. しきりに後ろ足で耳を掻いたり、周囲の物に外耳をこすりつけたりする。
5. 慢性化すると、外耳道に潰瘍などが出来て、犬は痛みで悲鳴をあげる場合がある。
6. 悪化すると、外耳道がふさがれてしまう場合もある。
外耳炎の治療
外耳炎は、慢性化、または再発しやすい病気なので、根気よく治療を続けていくことが大切。
1. 耳をよく洗浄し清潔にする。
2. 細菌類の繁殖が原因となっている場合は、抗生物質や抗真菌剤を投与する。
3. 耳ヒゼンダニの寄生が原因の場合は、駆除薬の投与を行う。
3. アトピー性皮膚炎などの全身性の皮膚病が原因の場合、その病状に合わせた治療を行う。
4. 体質改善のためのサプリメントなどを併用するのも有効。
5. アレルギー性外耳炎の場合には、ドックフード等が原因となっている場合が多いので、食生活の改善を行うようにする。一度アレルギー体質になると、以前は問題なかった食事も徐々に過敏に反応するようになるので、ドックフード選びを慎重に行う。
6. 外耳道が炎症を起こしている場合は、外耳道のお手入れは自宅で行わず、動物病院に任せた方が良い。
外耳炎の予防
1. 日頃から耳のチェックを行い、耳垢がたまっていないか確認しましょう。
2. 自宅での耳掃除は外耳道を傷つけたり、逆に耳垢を押し込んでしまう場合もあるので注意が必要です。
特に外耳炎を発症しやすい傾向がある下記の犬種は、普段から外耳道のチェックを入念に行うように習慣付けましょう。異常を確認したら、ひどくなる前に動物病院で治療を受けるようにします。
:脂漏性皮膚炎にかかりやすい犬種(アメリカン・コッカー・スパニエル、シーズーなど)
:高温多湿に弱い北方系の犬種(パグなど)
:アレルギー性皮膚炎を発症しやすい犬種(レトリーバー系、ウェスト・ハイランド・ホワイトテリアなど)